衝撃のIPA、発音にはルールがあった!

そんなある日、授業で「音声学phonetics」を受講することになります。これが私の後々の人生を大きく変える一大転機になるのです。その授業で、私は発音にはしっかりとしたルールがあるんだ、と初めて分かったのです。発音は習うもんじゃない、器用なヤツだけが出来るものだ、などと考えていた自分にとって、これは最大の衝撃でした。

そもそもこの授業は大学院生向けの必修授業で、言語学を学ぶものにとっては避けては通れない「音声学」。これを取る前には、特に教授がタダでさ難しい音声学を、より難しくするから、注意したほうがいい、と。また宿題は最低でも20時間かかるから、気をつけろ、と。先輩たちから強く言われていたので、本当に身構えて授業に挑戦したわけです(笑い)。

最初の日、まず渡されたのが、IPA記号の一覧表。これを全部覚えてこい、というものでした。

IPAとは、International Phonetic Alphabetの略で、俗にいう「発音記号」です。人間の発声する音声の可能なパターンを徹底的に記述したものが、IPAです。IPAによれば、母音は36音、子音は何と128音も可能だということです。その可能な164音全てにおいて、それ特有のシンボル記号があり、どのように発音するか明確なルールがあります。平たく言えば、人間は口の使い方、息の出し方など、いろいろ工夫すれば、何と計164音も発音出来るようになるわけです。

世界の様々な言語はこのIPAをもってすれば、全て正確に記述され、例えば、英語は全部で38音あり、日本語は17音しかありません。ここまで鮮やかに、英語と日本語の違いを見せ付けられたのははじめてでしたし、何せ発音にはルールがあったんだ、という事に気付けたのは非常に大きかったです。

例えば、日本語には母音が5音あって、その「あ、い、う、え、お」はどのように舌を動かして、どの位置に置くか正確なルールがあるかを理解できます。そのルールさえ分かっていれば、それに非常に近い英語の” a ”はどうやって発音するべきか正確に分かるわけです。

このように、IPAを覚えておけば、少なくとも日本語と英語の言語に対するIPAが読めるようにしておけば、自分でルールを把握し、ネィティブスピーカーの真似をしなくても良いわけです。自分でしっかりと発音のルールを学び、主体的に自分の発音を改善出来るわけですね。

例えば、辞書を開けると、必ずスペルの横に、IPA(発音記号)が書いてあります。それを見て、ルールブック通りに口を動かして発音すれば良いわけです。自分でアメリカ人の発音を真似したり、などという不確定なことをしないですむわけです。

もっといえば、IPAを比べると、英語と日本語の違いが一発で分かり、明確にどの音に注意すればよいか分かってくるわけです。例えば今回発音向上プロジェクトがお勧めする8つの英語の音は、明確に日本語に存在しない音であり、覚える必要性が高いというわけです。逆に何かも覚えろ、というわけではなく、実際に問題となるものを冷静に選び、ターゲットを決めて、発音練習できるわけです。

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