1.最初の誤算

作者の英語学習は大学時代にさかのぼります。

お金をかけずに、何かスキルを身につけたい、そんな安易な理由から英語学習に手をつけたのだと思います。その当時は、まさかここまで言語というものに、のめりこむとは思ってもいませんでした。

当時の勉強は非常に単純で、まず英文法を完璧にする。そして英単語を片っ端から覚える。そのバロメーターに、数ある英語資格試験を制覇していったのです。英検やTOEIC,それぞれの試験に多少の違いはあれど、基本的にストラテジーは同じ。ともかく頭の中にある「英語についての知識」を増やす事(単語、文法など)。試験パターンに慣れること(時間配分、問題形式など)。この二つをコツコツしていくと、自然と高得点が取れて、結構トントン拍子に話が進みました。

そうした「知識」に関しては自信をもっていた私ですが、ある日所属大学の「交換留学プログラム」の選考に合格することになりました。基本的に英語を「知識」として覚えまくり、一度も日常コミュニケーションで使った事がなかった私だったので、「留学」というチャンスは非常に魅力的でした。また海外にも旅行さえ行ったことさえなかったので、「言葉」として英語を使う事。そして異文化と触れ合う事。この二つについてますます興味がわいてきたのです。これだけ覚えた英語を使って、何か新しいものを見てみたい。こう強く感じ、私は迷わずに交換留学プログラムに申し込みました。

どんな世界が待っているのか、私は期待と不安で胸がいっぱいになる中、アメリカNY州にあるシラキュース大学に向かいました。単語量、文法の正確さ、これに絶対的な自信を持っていたので、英語はすぐに話せるようになると決め込んでいた分、言葉の問題に関しては心配がありませんでしたが、やはり異文化であるアメリカ、初海外、と様々に重なり、やはり胸の高まりは収まりませんでした。

飛行機は14時間かけて、NYシラキュース空港に到着します。留学生担当の方が、空港まで迎えに来てくださったので、いきなり英語を使うことになりました。今でも忘れません、そのときに衝撃が起きたのです。まず、何をしゃべっているのか分からない。そして何より、どんな簡単な単語や文章でさえ、自分の英語は全く通じないのです。あれだけ覚えてきた英語が全く使えないのです。

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